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TechWaveの一番クソだと思うところ

以前ある人に TechWave が嫌いなのかと聞かれ、特に嫌いではないと答えたことがある。心底嫌いならはじめから読まなければよいだけで、ただクソなところはクソだ、と。

TechWave が成功していない理由について湯川鶴章の分析があるが、根本的な理由が抜けていると思う。それは記事の質が十分でないことである。もう少し正確に書けば、ブログメディアで黒字化云々を口にできるほど他のニュースメディアとの差別化がなされていない。

記事の質というニュースメディアが担保すべき根本についてまったく言及がないままに、現在のアクセス数からテクノロジービジネス情報を求めている母数が少ないと嘆くのは大きな間違いではないか。

TechWave の記事の質が特に低いわけではない。というか、大半は海外記事を要約しただけなので、nook がとっくに実現していた機能を「電子書籍が、また一つハードルをクリアした」とか書く恥ずかしいレベルの間違いを含む場合もあるが、少なくとも海外記事の要約程度の価値はあるわけだ。

しかし、それなら個人ブログで十分だし、実際 TechWave レベルの情報を提供する個人ブログはいくつもある。テクノロジービジネス情報を配信するブログメディアの代表格である TechCrunch と比べるのは無理にせよ(海外では TC は linkbait、つまり釣り記事が多いという批判があるが、それでも質量ともに一定以上を常に保っている)、日本の IT 系ニュースメディアと比べてもどんな質的な優位性があるか湯川鶴章は挙げられていないじゃないか。

ワタシが TechWave で一番クソだと思うのは、海外記事の要約の後につく「蛇足」である。その内容ではなく(前述のような事実誤認は多々あるが)、わざわざ「蛇足」と書くようなセンスが卑しいと思う。

湯川鶴章も「蛇足」の意味を知らないわけはないだろう。もし彼が TechWave の記事の質を高めたいと考え、そして本当に自分の文章を「蛇足」、つまり有用性のない無用の長物と考えるなら、そんなものはすべて削除すべきだろう。そうして記事本数を多くしたほうがタイトさが増すだろうに。

もちろんそうじゃないのだろう。あえて自分の文章を「蛇足」と呼ぶことで謙遜しているつもりなのだろう。

しかし、ワタシはこうした謙遜のポーズは、批判されたら「いやぁ、これは蛇足ですよ。そんなに厳しくツッコまないでくださいよ」といつでも逃げを打てる卑怯さを感じる。予防線をはるのは勝手だが、それは質の低さの言い訳にも批判の予防にもならないはずだ。

そんな姿勢のメディア(?)がフリーミアムモデルやマネタイズがどうこう書いてもお笑いである。自分の文章が記事に価値を加えていると考えるなら(そうあるべきだし、実際そのつもりなんだろ?)、堂々と「解説」と書けばいいじゃないか。

もっとも今回の文章を読んで湯川鶴章の日本語感覚に疑問を持ったのも確かである。彼は冒頭「タイトルは釣り。」と書いているが、はてなブックマークのコメントで複数の人が指摘するように、こういうタイトルは「釣り」ではなく「嘘」というのだ。

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